苺農家さん向け 今さら聞けない苺農栽培に役立つ植物生理の基礎シリーズ2【光合成と呼吸の関係】

こんにちは
QS agri の桜間です。


前回は、光合成を勉強しました。
今回は、光合成と密接に関係する呼吸を取り上げたいと思います。

いちご栽培における光合成と呼吸の関係は、光合成で生み出された栄養(糖)を、呼吸で消費・分解してエネルギーを得るという基本的な植物の活動で、収量と品質に直結します。

光合成のプロセス

光合成は、植物が光エネルギーを利用して二酸化炭素(CO₂)と水(H₂O)から糖(炭水化物)を合成し、酸素を放出する過程です。この反応は主に葉の葉緑体で行われ、植物が成長するためのエネルギー源を提供します。

光合成の基本的な反応式は次の通りです。

水+二酸化炭素+光→糖+酸素

光合成によって生成された糖は、植物の成長や発育に必要なエネルギー源となります。
ここまでが、前回のおさらいとなります。

呼吸のプロセス

一方、呼吸は植物が酸素を取り込み、糖を分解してエネルギーを生成し、二酸化炭素を排出する過程です。呼吸は昼夜を問わず行われますが、特に夜間に活発になります。

呼吸の反応式は次のようになります。

糖+酸素→エネルギー+二酸化炭素+水

呼吸によって生成されるエネルギーは、植物が成長するために必要な活動、例えば、根の成長や栄養素の吸収を支えます。多くの草本植物では、1日の光合成で同化した炭素の30〜60%を呼吸によって消費します。光合成と呼吸の速度比は一般的に10:1程度です。

このように、いちご栽培における呼吸は、光合成と並行して24時間行われ、酸素を吸って二酸化炭素を排出する生命活動です。

特に冬場は、夜間のハウス密閉時に土壌微生物やイチゴ自身の呼吸でCO2濃度が早朝に高まり、日中の光合成に利用されますが、酸素が高濃度になりすぎると「CO2飢餓」状態を防ぐため換気が必要になります。

また、呼吸は温度が高いほど活発になりエネルギーを消耗するため、低温管理で呼吸を抑制し、古い葉を取り除くことでエネルギーロスを防ぎ、収量と品質向上を目指します。

転流のメカニズム

葉で生産された光合成産物は、師管を通して果実や根へ輸送されます。従来は「日中に葉で蓄積された光合成産物が夜間に果実に転流する」と考えられていました。しかし実際には、光合成と転流は同時に進み、夜間の転流割合はさほど多く無い事が分かってきています。

転流と温度の関係

転流自体への温度の影響は大きくないのですが、根が糖を受け取った後の代謝には多くの酵素が関わるため、温度が高いほど反応が早く進む事が分かっています。従って、午後に温度を高めにすることで、午前中の光合成産物の転流を促進できるという事になります。

これらのメカニズムを総合して、実践的な環境制御のポイントとしては…。

1.午前中の管理

1日の光合成の約60%が午前中に行われると言われています。早朝のCO₂濃度は夜間の呼吸により600〜700ppmまで上昇します。日の出とともに光合成が始まり、CO₂濃度が低下します。ここで、 CO₂施用により700〜1,000ppmを維持することで光合成を促進させます。

2.午後の管理

光合成産物の転流促進のため、日没まで25℃程度を維持します。温度を高めることで代謝を促進し、転流を効率化させます。

3.夜間の管理

最低温度5℃として夜間の呼吸消耗を抑えます。夜間温度が高すぎると作物の呼吸量が増加し、同化産物の消耗につながります。適切な夜温管理により収量増加が期待できます。

これらの管理により、光合成産物の蓄積を最大化し、呼吸による消耗を最小化できます。

まとめますと、

いちご栽培における光合成と呼吸の関係は、単純な「光合成>(だいなり)呼吸」ではなく、温度や時間帯によって変化する動的なバランスです。
日中の光合成を促進しつつ、夜間の呼吸を抑制し、効率的な転流を実現することで、高収量・高品質のいちご生産が可能になります。

次回もよろしくお願いします。

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この記事を書いた人

qsagriのアバター qsagri 代表取締役

株式会社 QS agri 代表取締役の桜間秀太です。
2022年5月9日に同志社大学京田辺キャンパスにて創業開始致しました。
肥料の販売及び開発を行っております。
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