こんにちは
QS agri の桜間です。
今日は、イチゴ栽培のレベルが一段上がる話をします。
テーマは、植物ホルモンです。実はイチゴ栽培でよくある悩み、花が少ない、果実が小さい、奇形果が多い、色が乗らない、という問題の多くは、植物ホルモンのバランスで説明できます。
今日は、現場で役に立つ植物ホルモンの基礎を分かりやすく解説します。資材選びの考え方も分かるようになりますので、ぜひ最後までご覧ください。
植物ホルモンとは何か
まず植物ホルモンとは何かです。イチゴの生育は、非常に少量の植物ホルモンによって精密にコントロールされています。例えば、花芽分化、ランナー形成、果実肥大、着色、成熟、これらはすべて、ホルモンの働きによって決まっています。つまり、ホルモンを理解すると栽培が理論的になります。経験と理論が結びつくポイントが、この植物ホルモンです。
まず覚えるべき5種類のホルモン…イチゴ栽培では、まず5種類のホルモンを覚えれば十分です。
1.ジベレリン
2.オーキシン
3.サイトカイニン
4.アブシジン酸
5.エチレン
この5つです。ここを押さえれば、栽培の見え方が変わります
ジベレリン
まずはジベレリンです。一言で言うと、伸ばすホルモンです。背丈が伸びる、ランナーが出る、花が増える、果実が大きくなる、作用があります。特に重要なのが、花芽分化とランナーです。ジベレリンは、低温や長日条件(ちょうじつじょうけん)の代わりになり、開花を促進する作用があります。また、ランナー発生も促進します。さらに、果実では細胞伸長を促進し、25〜30%程度サイズが大きくなることがあります。ただし重要な注意点があります。ジベレリンが多すぎると葉ばかりが、茂ります。現場でよくある、木ぼけの状態です。これは典型的なジベレリン過多の状態です
オーキシン
次はオーキシンです。一言でいうと、果実を作るホルモンです。オーキシンは、種子から分泌され、果肉部分の肥大を促進します。つまり、種子がしっかり発達しないと果実も大きくなりません。実際に、種子を取り除くと、その部分の果肉は発達しません。これはオーキシン不足が原因です。オーキシンには、糖度向上、ビタミンC増加、日持ち向上、といった効果もあります。また、発根促進にも使われます。実用的には、ナフタレン酢酸がよく使われます。適正濃度は、10〜30ppm程度です。ただし、濃すぎると逆効果になります。
サイトカイニン
次はサイトカイニンです。これは、細胞を増やすホルモンです。ジベレリンが伸ばすホルモンなら、サイトカイニンは数を増やすホルモンです。果実では、細胞数が増えることで、大果になりやすくなります。また、脇芽の発生促進、葉の老化抑制、光合成維持、などの効果があります。開花初期の処理では、着果率向上の効果もあります。
アブシジン酸
次はアブシジン酸です。一言でいうと、色を出すホルモンです。アブシジン酸は、アントシアニン生成を促進し、赤色の発色を促進します。つまり、色が乗らないときはアブシジン酸不足の可能性があります。アブシジン酸は、成熟の合図になるホルモンでもあります。収穫期になると、急激に増えることが分かっています。
エチレン
最後はエチレンです。エチレンは、唯一の気体のホルモンです。作用としては、成熟促進、軟化促進、糖化促進、があります。出荷調整にも使われます。イチゴは、エチレンの影響が比較的小さい果実ですが、処理によって、成熟をある程度促進できます。
生育ステージ別ホルモンの動き…ここが重要です。生育ステージによって、働くホルモンが変わります。
*9〜10月の花芽分化期は、低温と短日条件で、アブシジン酸が増えてジベレリンが減ると花芽分化が始まります。
*春〜夏ころのランナー伸長期は、長日高温条件で、ジベレリンが増えてランナーが出ます。
*開花期は、オーキシン、ジベレリン、サイトカイニンが増えて、着花が安定します。
*開花後2週間の、果実肥大期は、ホルモンの働きが最も重要な時期です。オーキシン、ジベレリン、サイトカイニンが増えて、細胞分裂と肥大が進みます。
*着色期である、成熟期には、アブシジン酸、エチレンが増えて、赤くなります。
現場の経験則…最後に、プロ農家さんの経験則です。非常によく当てはまります。
1.オーキシン不足は、奇形果増えます。
2.サイトカイニン不足は、小玉になります。
3.ジベレリンが過多だと、葉ばかり茂ります。
4.アブシジン酸が不足すると、色が遅れます。
ホルモンで説明すると、非常に分かりやすくなります。
まとめ
まとめです。
植物ホルモンは、植物の成長を調整する、非常に重要な仕組みです。
このホルモンを理解すると、資材選びの精度が上がります。そして、栽培の再現性が上がります。
これが大きなメリットです。少しずつ覚えていきましょう。
それでは、次回の記事でお会いしましょう。
バイバイ

コメント