こんにちは、QS agriの桜間です。
気象庁の季節予報によると、2026年の夏も、全国的に平年より気温が高く、厳しい「猛暑」になる可能性が高い見込みです。高温障害の対策といえば、寒冷紗の設置や、ハウスの屋根散水、強制換気など、いろんな方法がありますよね。でも今日は、その中でも特に重要な、株と根を内側から守る方法について、詳しくご紹介していきたいと思います!
まず、この写真を見てください

ちょっとこちらの写真を見ていただけますか?これ、実は弊社の実験圃場で実際に高温障害が起きてしまった時の写真なんです。うっかりハウスを閉め切ったまま外出してしまいまして……。その時のハウス内の温度、なんと50℃近くになっていたと思われます。
写真の上段の苗は葉面散布をしていたもの、下段の苗はかん水のみをしていたものです。下段の苗は、高温障害の典型的な症状である「しおれ」がはっきり出てしまっています。一方、葉面散布をしていた上段の苗は、多少しおれが出たものの、ほぼ問題なく栽培できていますよね。
同じ条件で、これだけ差が出たんです。なぜこんなに違うのか?今日はそのメカニズムから、具体的な使い方まで、順番にご説明していきます。
そもそも葉面散布って何?
まず、葉面散布というのは、作物の葉に液肥などの養分を直接施肥することです。
実はこれ、太古の植物にルーツがあるんです。大昔の植物は水の中で生活していて、体全体を使って養分を吸収していました。そこから進化の過程で、苔→シダ→裸子植物→被子植物と変わっていくわけですが、葉から養分を吸収できる性質はそのまま残ったんですね。葉面散布はまさにこの性質を活かした施肥方法というわけです。

今日ご紹介する資材はこちらです

- YMC-E(有機酸ミネラルカルシウム):カルシウム補給・細胞強化
- Si(液状珪酸):シリカ層形成・耐熱バリア
- QS-B3 / QS-B4(アミノ酸入り有機液肥):根の活性維持・ストレス軽減
これらを組み合わせたものが、弊社の「葉面散布スタートキット」です。それぞれの役割を、順番に詳しく説明していきますね。
株・根を守る3つのアプローチ
① カルシウム葉面散布|チップバーン予防
まず、カルシウムについてです。「高温の時にカルシウムが大事」というのは聞いたことがある方も多いと思いますが、なぜかというと、こういうメカニズムなんです。少し専門的な話になりますが、順番に説明しますね。
高温になると、植物は蒸散が過剰になったり、逆に気孔を閉じて水分を守ろうとしたりします。すると、根からの水分や養分の吸収が落ちてしまいます。カルシウムというのは、水の流れ、つまり蒸散流に乗って植物体内を移動する元素なんですね。なので、水の動きが鈍くなると、カルシウムが真っ先に不足してしまうんです。
しかも、カルシウムは一度植物体に蓄積されると、他の部位に移動できない元素なんです。なので、新しく成長している若い葉や生長点、果実などに届かなくなって……それが「チップバーン」という症状として現れてきます。
チップバーンというのは、若い葉の縁や先端が茶色く枯れ込んでしまう症状で、イチゴでは商品価値を大きく下げる原因になります。高設栽培では培地量が少なくて根域が制限されているぶん、土耕よりも発生リスクが高いんです。

だから、根から吸えない分を葉から直接補給する、つまりカルシウムの葉面散布が非常に有効なわけです
散布のポイントとしては、早朝か夕方の涼しい時間帯に、新葉やクラウン周辺を重点的に散布してください。高温期は週3回が目安です。資材は塩化カルシウムや硝酸カルシウムでも構いませんが、弊社のYMC-Eのような有機酸カルシウムは吸収性が高く、葉面散布に特に適しています。
② ケイ酸資材の施用|蒸散コントロールと耐熱バリアの形成
次に、珪酸(ケイ酸)についてです。珪酸が高温対策になる、というのはちょっと意外に思われる方もいるかもしれません。でも、メカニズムを聞いていただければ、なるほど!となると思います。
植物が珪酸を吸収すると、葉の表皮にあるクチクラ層の下に、硬いシリカ層が形成されます。このシリカ層が、いくつかの面で高温対策に働いてくれるんです。

まず1つ目が、蒸散のコントロールです。高温になると気孔が過剰に開いて、水分が蒸散しすぎてしまいます。するとしおれが起きたり、乾燥ストレスで葉が傷んだりします。シリカ層が表皮を物理的に強化することで、この過剰な蒸散を抑えて、葉の中の水分をしっかり保持できるようになるんです。
2つ目が、細胞壁の強化です。高温というのは、細胞そのものにもダメージを与えます。珪酸が細胞壁に蓄積することで、高温による細胞の崩壊を防ぐ、物理的なバリアになってくれるんですね。
3つ目が、光合成効率の維持です。珪酸が蓄積した細胞はシリカ層がレンズのような役割を果たして、光を効率よく取り込める受光態勢を作ってくれます。高温下でも光合成をしっかり維持できることで、植物全体の体力低下を防いでくれるんです。
③ アミノ酸資材|根の代謝を守り、ストレスを軽減する
最後に、アミノ酸資材についてです。これは根の活性を維持するために、非常に重要な資材です。
高設栽培では、培地の温度が上がりやすいことが大きな問題になります。養液の温度が25℃を超えてくると根の活性が著しく低下して、30℃を超えると根腐れのリスクが急激に高まります。
なぜかというと、高温になると根の細胞の呼吸が乱れて、溶存酸素(ようぞんさんそ)が不足してくるからです。根が弱ると養分を吸収できなくなるので、カルシウムや珪酸をいくら葉面散布しても、根からの吸収がゼロになってしまっては全体の効果が落ちてしまいます
そこで役立つのが、アミノ酸なんです。
アミノ酸はいくつかの働きをしてくれます。まず、細胞内の浸透圧を調整して、高温・乾燥ストレスへの抵抗力を高めます。次に、高温によって変性してしまったタンパク質の修復や再合成をサポートします。そして、窒素同化の省エネ効果で、植物全体の体力を温存してくれます。
さらに、アミノ酸は根からだけでなく葉面からも吸収できるので、根が弱っている緊急時には葉面散布での補給も非常に有効です。
理想的なのは、葉面散布と灌注(培地への施用)の両方を組み合わせることです。葉面散布は即効性があって緊急時に力を発揮し、灌注は根からじっくり吸収させて持続的な効果が得られます。高温のピーク時はぜひ両方を使ってみてください
3つのアプローチの組み合わせ効果
整理すると、こういうことです。
この3つはそれぞれ役割が違うので、組み合わせることで、お互いの弱点を補い合い、単独使用よりもはるかに高い効果が期待できます。高温対策は、こういった複数のアプローチを組み合わせて、植物を内側からしっかり守ることが大切なんです。
葉面散布スタートキット、4つの資材をご紹介!
弊社では、今ご紹介した資材をセットにした「葉面散布スタートキット」をご用意しています。4種類の資材を混合して使うんですが、改めて一つずつご説明しますね。
QS-B3は、NPKが3-9-3で、カツオと青魚が主成分の有機入り液肥です。18種類のアミノ酸と核酸剤を含んでいます。細胞の縦伸び効果が期待できて、植物が上にぐっと伸びるイメージです。

QS-B4は、NPKが2.5-2.5-7.5で、B3と同じくカツオと青魚が主成分の有機入り液肥です。こちらは細胞の横太り効果が期待できて、実がしっかり大きくなるイメージですね。

YMC-Eは、微量要素を含んだ有機酸ミネラルカルシウム肥料です。カルス形成が早く発根能力に優れていて、発芽・発根・活着・根張り・育成・光合成促進・重量増加など、幅広い場面で効果を発揮します。農産物のミネラル含有量アップや糖度向上、連作障害の軽減にも効果があります。

Si(珪酸)は、液状の珪酸資材です。植物を丈夫にして、食害性害虫の被害を軽減する効果があります。クチクラ層と表皮組織の間に硬いシリカ層を形成して、害虫から植物を守るだけでなく、レンズの役割を果たして、光合成の効率を上げることもわかってきています。

これら4種類を混合して、1000倍希釈にしたものを、3日に1回、散布するだけです。毎日できるとさらに効果的です。育苗に必要な要素がこれ1つで補えるので、作業は少し手間ですが、それに見合うメリットは十分あると思います。
高温対策をさらに強化するなら!
スタートキットに加えて、QS-H2とQS-IPを混合すると、高温障害対策の効果がさらに高まります。
QS-H2は、各種ミネラル・カルシウム・マイナスイオンを配合した農業資材で、植物性酵素が細胞壁・細胞膜の成長を促進して、暑さや外部ストレスから作物を守ります。耐熱性が高く、高温対策に特化した製品です。

QS-IPは、野菜や果物から抽出した農業資材で、根の周辺の表面張力を弱めることで浸透性を高め、給肥力を向上させます。展着剤に似ていますが、展着剤が乳化させるだけなのに対して、こちらは浸透性そのものを高めるので、より効果が高い資材です。

この2つも1000倍希釈で、7日に1回、スタートキットと混合して散布してください
猛暑が来る前に、今のうちに準備しておくことが大切です。これらの資材をうまく活用して、高温対策をしっかり進めていきましょう!
この時期は在庫が少なくなりやすい商品ですので、ぜひお早めにご検討ください。詳細は下記のURLからご確認いただけます。
それでは、次回の記事でまたお会いしましょう。バイバイ!

コメント